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2004/11/06

前橋時代     ( 1-3 )

 1947年、父が前橋に転勤になり、私達は前橋市の官舎に移った。 その官舎はびっくりするほど広くて、正門を入って玄関まで続く道の両側には、一抱えもあるヒマラヤ杉の大木の並木が続いていた。 庭には小川が流れ、おたまじゃくしや メダカが泳いでいた。 私はメダカを獲ろうとしては、よくこの小川に落ち、ずぶ濡れになって母を困らせたらしい。
 上の兄は玄関前のニレの大木の上に、自分だけの“家”を作っていた。 私はそれがうらやましかったが、そこまで登れなかった。 仕方なく家の中で、椅子を横に倒し、その中に座布団を敷いて、自分の家を作って喜んでいた。

 クリスチャンだった母に連れられて教会にも行っていたらしい。 クリスマス前後、風呂敷きを背中にかけ、羊飼いの真似をして、家族を笑わせていたという。 忙しい母に代わって、私を風呂に入れるのは上の姉の役目だったようだ。 頭を洗うとき、一杯石鹸のついた泡だらけの髪を真ん中に寄せて、
 「ほら、キューピーさんみたい」
といって姉は笑った。 私もキューピーさんになるのが嬉しくて、姉に髪を洗ってもらうのが好きだった。
             kusatuonsen
                  草津温泉にて

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