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2004/11/14

広島の街     ( 1-11 )

 ずっと後になって解ったことだが、和雄ちゃんのお母さんは、被爆者だった。
家の縁側で“ピカドン”(広島の人達は原爆のことをこう呼んでいた)を直接目撃したらしい。 その為に被爆後に生まれた和雄ちゃんと良子ちゃんにどのような影響が出てくるのかを、追跡調査していたらしい。

 でも当時の私には、ピカドンはあまり意味を持っていなかった。市内に母の買い物についていったとき見た原爆ドームは、錆びた鉄骨で屋根を作った変な建物だと思ったし、石の上についた、人の座った跡も、石の上にポッと黒っぽい円形の跡があると思っただけだった。

 街で大きなケロイドのある人を初めて見たときは、さすがびっくりした。 顔に伸ばした風船を張りつけたのかと思った。 でもそういう人は、街の中にも、デパートにも、電車にも沢山いたので、そのうち慣れてしまった。 それより私にとっては、市内はもっと面白いことがいっぱいあった。 デパートには色々な珍しい物が沢山あったし、買い物の終わった後、母がご馳走してくれるあんみつや夏の氷あずきは、何よりの楽しみだった。

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