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2004/11/14

女中さん     ( 1-12 )

 当時の母の労働は大変なものがあったと思う。 三度の食事はすべて、かまどを使う。 枯れ枝や新聞紙にマッチで火をつけ、薪に燃え移らせるのがまず一苦労だった。
火吹き竹で風を送り、随分時間をかけて、火の準備をする。
それから、研いだ米を釜に入れご飯を炊く一方で、味噌汁や煮つけを作る。

 洗濯ももちろん手で洗う。波形のついた洗濯板でゴシゴシと汚れた部分をこする。
天気の良い日、庭先の井戸水を使ってやっていた。 何やかやと、育ち盛りの五人の子供の世話で当時の母は体調を崩してしまったらしい。
 そんな訳で、家にお手伝いさんが来ることになった。 当時は“女中さん”と呼んでいた。 最初の女中さんは近所の農家の人でとても怖かった。 私が便所から出て、手を洗うのをサボったりしたら、すぐにしかられた。

 次に来てくれた女中さんはとても優しかった。 お人形さんを作ってくれて、その洋服も色々と作ってくれたので、着せ替え遊びが出来た。 買い物に行くときは、必ず連れていってくれた。 帰りには決まって“よろず屋さん”に寄り、キャラメル一箱を買ってくれた。 そのキャラメルにはおまけがついていた。 おまけの小さな箱を開ける瞬間、私はワクワクした。 どんな物が出てきても私には宝物だった。 空き箱にきれいに並べて大切にしまっておいた。 その後、我が家は何回か引越しを繰り返したが、その宝物はずっと私と一緒だった。

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