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2004/11/27

サイクリング    ( 2-5 )

 渋谷区といっても我が家の近辺には未だ所々に自然が残っていた。 幡ヶ谷駅近くの玉川上水には、水も少量流れていて、夏ともなるとホタルも飛んでいた。
 か細げな光が、闇の中をスーと飛び交っていた。 近所を小一時間も歩くと、何ヶ所か畑が残っていて、季節の野菜が植えられていた。 畑の隅には大抵、桑やサンショ、桃やミカンなどの木が数本植わっていた。

 自転車にもよく乗った。 一番よく行ったのは、八幡神社(代々木八幡神社)の境内に寄り、明治神宮に行くコースだった。 神社は、こんもりとした木々に囲まれた、小高いところにあり、境内には、日本史の教科書にも載ったことのある、復元された竪穴式住居があった。 秋には、結構盛大な祭りがあった。 入り口の石段を登ると、露店がぎっしり並び、ゆかた姿の人で賑わった。

 神社を過ぎて、小田急線の踏切を渡ると、広い道に出る。 向こう側にはワシントンハイツが現れる。 アメリカ軍用住宅で、以前は陸軍練兵場だったという。
 後に、日本に返還されて、オリンピック選手村に使われ、今では、代々木公園と青少年総合センターになっている所だ。 ワシントンハイツの高い金網に沿って、しばらく行くと、明治神宮の参宮橋門につく。 そこに自転車をおいて、中に入る。

 昼でも薄暗い、大木に覆われた砂利道をしばらく進むと、前方が明るくなり、広いなだらかに起伏した芝生に出る。私達はそこで鬼ごっこをしたり、ボール投げをして、思いっきり駆け回った。 体中汗をかき、疲れると、広い芝生の上に寝転がって、空を行く雲を眺める。

 ある時は、広い牧場でのんびり草をはんでいる羊の群だったり、又ある時は、天の羽衣をなびかせ、天空を舞う天女の姿だったりした。 時には、走馬燈のように、次々と場面が変化した。 親子連れのアヒルの後から、これ又親子連れの象が来たと思うと、サバンナの動物達が大挙して押し掛けてきて、その後を、一匹の巨大なゴジラが、口から炎を吹き出しながら追いかけてきたりした。青い大きなキャンパス、白い雲の絵の具。 私達は、想像の絵筆を自由自在に走らせた。

 時には、結構遠出をした。 友達四、五人と甲州街道沿いに芦花公園や多摩川べりまでサイクリングしたこともある。ある時、友人の一人が車道と歩道の間に積んであった砂に車輪をとられ、歩道側に転倒した。 その直ぐ横を、ダンプカーが排気ガスを黒く噴出して飛ばしていった。 もし、車道側に倒れていたらと思うと、私達はゾッとした。

        

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