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2004/11/07

竹の子      ( 1-6 )

 ある日、裏山の竹林で私と和雄ちゃんは竹の子を折って遊んでいた。 背丈ほど伸びた、子供でも握れるくらいの細目の竹の子だった。 最初一本折ってみたら、ポクリといとも簡単に折れた。 その折れっぷりの良さに、私達はうれしくなった。 そこら中の竹の子をポクリ、サクリ、ポクリ、サクリと折って大はしゃぎだった。 手近な竹の子を皆折ってしまうと、そろそろ飽きてきたので、次の遊びを探しに、山の中に入っていった。

 夕方、和雄ちゃんの家の方から、大声で怒鳴る男の声が聞こえてきた。 私は、いつも和雄ちゃんの家へ行くとき通る生垣の穴からそっと覗いてみると、裏山の農家のおじさんが折れた竹の子を縄でしばってぶら下げて立っていた。 その前で和雄ちゃんのお母さんがさかんに謝っていた。 私にも何となく状況がつかめた。 私と和雄ちゃんは 大変な事をしてしまったらしい。 どうしょう。
私は怖くなって裏庭の木の下にうずくまっていた。 あたりが暗くなってきた頃、母が探しにきた。 
 「こんなところにいたの。心配しなくていいのよ」
母はやさしく言ってくれた。

 私は母に連れられ、すごすご家の中に入った。 食卓には夕食が既に用意されていて、兄や姉はもう座っていた。 食事中、母が父に言った。
 「それにしても子供のやったことに、あんなにむきになって怒らなくてもいいのに」
私はやっとほっとして食事を食べる気になった。 私は確かに悪いことをしてしまったらしい。 でもそんなにひどく悪くもないみたいだ。 それにしても今度からは竹の子を折るのはやめよう。 それがこの日得た私の一つの教訓だった。

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