« 砂浜       ( 1-7 ) | トップページ | 汽車ポッポ    ( 1-9 ) »

2004/11/09

あさり       ( 1-8 )

 ある日、私と和雄ちゃんは随分遠出をしてしまった。 浜辺をいつもと逆の左手にどんどん歩いていくとアサリが砂から所々で顔を出していた。 少し手で掘ってみるとザクザクと面白いように出てくる。 二人は、近くに落ちていた木箱を拾い、中に一杯になるまで夢中で掘った。 ふと気がつくと、周りに見知らない子供たちが立っていた。
 「それはうちらのアサリだ。取ったらいかん」

 私はびっくりして立ちあがった。 だって海は皆の物でしょう。 私は理解に苦しんだ。 この子供達きっと意地悪して嘘言っているんだ。 私は納得出来なかった。
でも相手は多人数だし、強そうだった。 私と和雄ちゃんはせっかく一生懸命採ったアサリをそこに置くとスゴスゴと家に帰った。 家に帰るとすぐ私は、母に今日いやな目に会ったことを話した。 慰めて欲しかった。 あの子達は嘘つきで、悪い子だと言って欲しかった。 でも母は困ったような顔をしていた。

 夕食のとき、父と母は話していた。
 「きっと漁業権か何か、あのあたりの浜辺にはあるのね」 
私にはやはり理解できなかった。海辺に持ち主がいるの? 海は皆のものではないの?

海辺にて

|

« 砂浜       ( 1-7 ) | トップページ | 汽車ポッポ    ( 1-9 ) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: あさり       ( 1-8 ):

« 砂浜       ( 1-7 ) | トップページ | 汽車ポッポ    ( 1-9 ) »