« 花をたくさん咲かせるには | トップページ | 7.張作霖のお屋敷 »

2006/04/10

花をたくさん咲かせるには 続

前回では、花をたくさん咲かせる、プロの技を紹介したが、今回は少し視点を変えて、早く咲かす技について述べてみたい。

ここ数日桜の花も、がくの赤みが目立ってきて何かとあわただしかった花見の季節も、東京ではそろそろピークを越え、園芸好きにとっての次のステップが始まる。樹木の剪定作業の開始だ。梅は少し遅れたな、百日紅はこれ以上遅くなっては手遅れになる、梅は小枝の選定だけにとどめよう・・・。園芸も深みにはまると、花を愛でる時間より、義務の作業ばかり増えてしまう。といって、息子の言うように根元から切ってさっぱりする気にはならないし、本職に任せる気もしない。これがマニアというものなんだろう。

剪定初心者のころは、切った枝をそのまま捨てるにしのびず、その多くを挿し木にしてみた。連翹、沈丁花、芙蓉、百日紅など、面白いように根を出し幼木に育った。梅、桃も何本か育った。しかし、この私の一見“人道的”処置は、私に更なる苦悩をもたらした。(自分の庭の狭さを自覚していなかった!)ご近所の人も、それなりに一家言ある園芸好きである。ありふれた花木なぞにはあまり興味を示してくれない。お付き合いに幾つか引き取ってくれるだけだ。人の良いお隣さんの庭の何割かは、気の毒に我が家の植物の植民地になってしまった。それでも残った苗は、捨てるわけにもいかずプランターの中で盆栽化する運命にある。

そんな中で、八重の白い桃だけは、次の年の挿し木の予約まで来てしまうほど人気があった。我が家の周辺の家々には、この木の子供がすくすくと育って、きれいな花を咲かせている。

桃に限らないが、挿し木苗の花付きは早い。桃の場合は、花が咲き終わった枝を挿すと、次の年から咲き出す。20センチぐらいの小木に直径4センチぐらいの花がいくつも付く。頑張りすぎである。でも花が付いていると皆安心して直ぐもらわれていく。

それに対し、親木の下に実生(種からの)苗が何本か生えているが、これには一向に花が付かない。56年経っただろうか、忘れていたら昨年、数輪の花が咲いた、早速兄のところにもらわれていった。今年は、かなりたくさん花をつけたという。

挿し木苗と実生苗、庭で鑑賞する分には、花の咲く早さで、挿し木苗に軍配が上がりそうである。事実、現在一般に出回っている樹木の苗は殆んどといっていいほど挿し木、または接木苗であるという。

しかしこれが森林の構成樹となった場合どうであろうか。商業目的がはっきりしている樹木の場合は、果樹、庭園木と同様な理由で許容できる。しかし十年、百年、場合によっては千年の単位で生き続け、自然環境を守ってくれる役目を、挿し木苗(クローン)が担えるであろうか。

予知不可能な自然に種の多様性で対応して、生命は生存を維持してきた。目先の効率や、利害でクローンに頼りすぎるのは、非常に危険だと思われる。人間はあくまで自然の一部分だという事を忘れたくない。クローンは用途をはっきり限定し、長期的自然保護の観点からは、実生苗を利用した方がいいのではないだろうか。

|

« 花をたくさん咲かせるには | トップページ | 7.張作霖のお屋敷 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 花をたくさん咲かせるには 続:

« 花をたくさん咲かせるには | トップページ | 7.張作霖のお屋敷 »