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2006/06/26

13.お正月料理  続

お正月料理として餃子の外に、忘れてはならないのが魚を用いた料理です。“魚yu”の発音と“余yu”の発音が同じためです。余とは余裕であり、富裕です。人々は、新しい年がより豊かで、衣食住が満ち足りるだけでなく、更に蓄えもできる事を願います。

魚の中でも特に鯉が喜ばれますが、それにはいくつかの理由があります。私の故郷は海から遠く離れているのですが、松花江という大河が町の中心を流れていて、鯉がたくさん取れます。また鯉は逆流を力強く遡上し、将来は龍に成るという言い伝えがあり、私の故郷では出世の象徴とされていました。

正月の鯉料理は、とても手の込んだものでした。きれいに洗われ下ごしらいされた後、白い大皿におかれ、全体に念入りに飾り包丁が入れられます。なべに並々と入れられた油が十分に熱せられた頃あいを見計らって、シッポから持ち上げそっとなべに滑り込ませます。この時油と水が合わさり激しい炸裂音がすると共に、飾り包丁の切れ込みがみごとに開きますが、これを何回かひっくり返したあと取り出します。次に別に用意されたお鍋に油を少々熱して、ねぎ、生姜、にんにく、胡椒、八角ウイキョウ等々に砂糖、醤油、酢、酒を加えて炒め、更に湯を加え鯉を入れて30分前後煮込みます。なべの中の水分がなくなる頃魚を取り出し、白磁の皿に載せ香菜のみじん切りを散らすと、出来上がりです。

お正月料理はこのほかにも、各家々には自慢料理があり、テーブルいっぱい様々の工夫を凝らしたご馳走が並びました。中でも心がけられたのは、充分な量を用意する事でした。おなかいっぱい食べても未だ余るくらいが適当とされました。当時、毎日が節約窮乏生活だったので、正月だけは特別に贅沢が許されたのです。

湯気の立つ熱々の餃子が運ばれ、ビールが注がれます。

突然テレビから“パンパンパンと爆竹の音が響き“春節聯歓晩会の輝く文字が現れると、一瞬部屋の中が静まります。五十六種類の美しい民族服に包まれた出演者が、軽やかに華やかに歌い踊ります。それに続き五色の紙ふぶきが舞い。多彩な紙テープが飛び交い、テレビの中と外で期せずして拍手が沸き起こります。

春節聯歓晩会が始まりました。みんなで乾杯です。“あけましておめでとう!”

 一杯のビールが忙しかった大晦日の緊張を一気に解き放ってくれます。一方、子供達は、硬貨餃子とキャンデー餃子に当たるよう念じつつ餃子を食べ始めます。

そんな中、目はテレビを追っているのですが、箸を一時も休めることなく餃子を食べている親戚のお兄さんがいました。一口一個の割合でがつがつと食べまくっています。

 “いたッ!”突然叫ぶと、あごの辺りを押さえてうずくまってしまいました。

 “どうした?”皆心配して集まってきます。そのお兄さんの顔は真っ赤になっていて、しばらくしてやっと身を起こし、椅子に座りしかめつらしてため息をつきました。皆が見守る中、おもむろに口からピカピカの硬貨をつまみ出しました。どうやら硬貨がお兄さんの虫歯を直撃したようでした。皆大笑いです。

“おめでとう!やったね!君が硬貨に当たった一号だから、今年大もうけできるのは決まりだね!金持ちになってもみんなの事忘れないでくれよ!”

お兄さんは依然痛くてヒイーヒー言っていましたが、機嫌よさそうに大笑いしました。今年の幸運をいささかでも傷つけたくなかったのでしょう。

夕飯が済むと、お兄さんはその幸運の硬貨をきれいに洗って、丁寧に鏡に貼り付けました。こうすると、見た目では硬貨が二枚に見えます。したがって、やってくる幸運が二倍になるといわれているからです。

そのため春節が過ぎた頃、鏡には幾つかの硬貨が貼り付けられています。たいてい正月が終わると取り去るのですが、翌年の春節が近づいても未練がましく、張りつけたままにしている人もいました。

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