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2006/11/15

晩秋の八ヶ岳  続

 前回は清里周辺の紹介にとどめたが、今回は小海線の車窓の風景をいくらかでも紹介できたらと思う。

清里駅から小諸行きに乗車。しばらくは、すっかり葉を落とし白い幹が目に鮮やかな白樺や赤松などの混交林が続き、しゃれた別荘などが樹間に見え隠れする。多くの木々が落葉し林間は意外と明るい。JRで日本一の標高にある野辺山駅を過ぎてしばらくすると、両側の視界が一挙に開け高原野菜畑が続く。キャベツなどの収穫も過ぎたのだろうか、先ほどの雨を吸い黒々と広がる。


Yatugatake 進行方向左手遠方には八ヶ岳が抜けるような秋空をバックに姿を現す。山麓がなだらかに広がる。赤岳の頂上が雲に隠れて、残念と思っている間もなく雲は流れ去り、新雪にうっすらと覆われ陽光に輝いている山頂が見えてくる。また綿帽子のような雲が流れてきて山頂に黒い模様を描き出すのを眺めているうちに、両側にカラマツに覆われて黄金色に輝く山々が見えてくる。

“ここ数日の冷えこみで黄色が鮮やかになった”地元の人の話を思い出す。Karamatu

右に左に、遠く近く雨上がりの日差しに輝くカラマツの山々を見ているうちに、“風の谷のナウシカの一場面を思い出した。金色に輝く光の山々は、何を癒そうとしているのだろう。

山の斜面の微妙な位置条件によっても、黄葉の具合は微妙に変化するようで、所々にちりばめられているヒノキや松の緑と組み合わされて一幅の錦織りを見ているようだ

Sakuhirose 右に左にと忙しく視線を動かしているうちに佐久広瀬駅に着いた。今日の行程はここまでである。無人駅で私達の他に乗降客はいない。なだらかな斜面に畑が続き農家がぽつんぽつんと見える。しかし人影は見えない。柔らかい日差しにすべてが優しく息づいている。しかし風はやはり冷たい。小さな待合室に避難しても目だけは、前方の川原の向こうに広がる山の斜面に注ぎ続ける。


ここは千曲川の源流に近く、切り立った岩壁には人手も入らないと見えて、様々Kinshuu な木々が紅葉を競い合っている。実に見事だ。上空は風も強いのだろう無数の木の葉が舞い上がる。又いつ会えるか分からない、そんな気持ちがして、目の前に何気なく広がっているこの風景をしっかりと目に焼き付けた。


      カラマツのプロフィール

マツ科カラマツ(唐松)属。日本固有種で名前の唐は葉の付き方が“唐(中国)の松に似ているためという。中部山岳地帯を中心とした天然分布域は意外と狭いが、戦後その樹勢の強さと生長の早さを買われ、北海道や中部山岳地帯などの寒冷地に広く植樹されたという。

本来火山灰地や山火事跡地などにまずあらわれる先駆樹種という。富士山五合目付近のカラマツも溶岩地にいち早く進出したパイオニア植物の面目躍如たる姿をとどめているが、現在はシラビソなどの常緑針葉樹に押され、分布域を狭めているという。

からまつの林を過ぎて、からまつをしみじみと見き。

からまつはさびしかりけり。たびゆくはさびしかりけり。

これは北原白秋の詩の一節だが、落葉後のカラマツを描写したものと思われる。黄金色に輝くから松林は華やかで見る人の心を弾ませてくれるが、期間はきわめて短く、一瞬輝いたのち木枯らしに散っていくという。

カラマツは木材としては樹脂(ヤニ)が多く水に強いため、ログハウスの建材や尾瀬の木道として重宝されてきた。近年はご多分にもれず外材に押され、林は荒れるに任せられていたという。最近は樹脂をとる技術が開発され、集成材としての活用が期待されているようだ。

またカラマツの仲間は世界に広く分布していて、中国北方の大興安嶺は広大な純林に覆われているという。他にもシベリア、朝鮮半島、ヒマラヤ山地、ヨーロッパ、北アメリカと北半球の山地に12種類の分布が見られるという。強い適応力のなせる業であろう。

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