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2007/04/23

言葉の賞味期限

統一地方選挙戦を通じて、熱情を込めて多くの公約が候補者により語られた。また当選者の言葉からも、これからの重責に対する真摯な意気込みが感じられて好感が持てる。願わくは、これらの言葉の一つ一つが輝きを失わずに、今後4年間の賞味期限を全うして欲しいし、私達、選んだ側もきちっと経過を見守っていきたい。

 

 言葉といえば、前回紹介した中国江南の旅でも忘れがたい経験をした。

観光地のとあるレストランでの事。当地の名物料理をたらふく食べ、みな満足してくつろいでいた。私はウエイトレスさんに頼みたい事があったので、大きな声で“シャオチエ(小姐)”と呼びかけた。彼女は笑顔で用件を聞いてくれた。それを見ていた、同席の上品な初老の夫婦の旦那さんが、私をお手本にした。“シャオチエ、茶をもう一杯お願いします”茶碗を指差しながら言ったので十分通じたと思われた。

ところが、ウエイトレスさんは極めてつっけんどんだ。初めは聞こえていない風を装い、二度目にしぶしぶお茶を注いだ。

以前、中国の国営企業のサービスが悪いのには定評があった。しかし最近は、見違えるほど、接客態度がよくなったと聞いていたので、私は一寸がっかりした。地方はまだまだ遅れているのかな。

この経験を、帰国後中国人の友人に話した私は、回答を聞いて顔から火が出る思いがした。


前回もふれたが中国に初めていったのは、文革期だった。革命前の悪習一掃に国を挙げて取り組んでいた時期なので、男女差別、身分差別にも厳しい批判が注がれていた。それは言葉にも表れた。敬称はすべて“トンチー(同志)”に統一されていた。私達旅行者も簡単だった。

次回行った時は、価値観がひっくり返っていた。資本主義に“汚染”されていた地域、台湾や香港の言葉がもてはやされていた。台湾で未婚の女性に対する敬称“シャオチエ”は、洗練された今風の言葉とされウエイトレスさんの呼称として、最もセンスがよいと教わった。

そして今回、私は前回の知識のまま訪中してしまった。ところが今“シャオチエ”は、日本男性が風俗関係の女性を呼ぶ言葉に堕していた。一般の中国人女性、とくにサービス業に従事している女性にとって、日本人男性に呼ばれたくない言葉のダントツに上り詰めていたのだ。ウエイトレスさんの呼称としての賞味期限が完全に切れていたのだった。

私の頭の中に30年ほど前の、台湾旅行での一場面が浮かび上がってきた。

当時、国民党の戒厳令下、日本政府は蒋介石と手を結び、一般の台湾人が抑圧されている実情にはきわめて冷淡だった。新中国に対抗するための政治目的が先行していた。

台北から程近い観光地を台湾の友人の妹さんに案内してもらった時のこと。向こうから明らかに日本人男性と分かる二人連れが歩いてきた。服装は妙に派手で、態度は横柄で浮薄な表情は明らかに周囲から浮いていた。私は見たくはないものを見てしまった気分の悪さで、せっかくの観光地めぐりの楽しさが消し飛んだ。

当時、マスコミでも、台湾や東南アジアでの日本人男性の買春が現地で顰蹙を買っていると非難されていた。人呼んで買春ツアー。私とは別世界の話と思っていた。

それから十数年後、再度この手の話題がマスコミをにぎわす事になった。今度はこともあろうに買春の相手が、自国の未成年者となっていた。人呼んで援助交際。いい加減にしろ!

そして今、中国か・・・・。戦争中、金の代わりに銃剣で行った女性にたいする冒涜の歴史の反省さえ未だあいまいなまま、又性懲りもなく醜態をさらけ出している・・・・。同じ日本人として本当に情けなく恥ずかしいと思う。日本人男性の少数部分とは思うが、反省能力に問題があるように思われる。

戦時中の日本軍による、“慰安婦”という形での占領地女性に対する人権蹂躙に対する反省が、数日前わが国の首相により再度確認された。これが数日、あるいは数ヶ月の賞味期限でないことを望みたい。

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