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2007/07/09

鈍感力と共感力

ここ数週間、山口県H市事件の被告の供実を聞くたびになんともやりきれない、腹立たしさがこみ上げていた。妻子を無残に殺害された、被害者の夫の怒りもひしひしと伝わってきて、犯行時に18歳だったという犯人への同情の念も、少しも沸いてこない。大型弁護団の動きもなんともわざとらしく、かえって反感を感じてしまう。

こんな流れの中での先々週のテレビ番組“大田総理・・・”のタイトルは“少年法を廃止します”だった。大いに興味があったので是非見ようとチェックしておいた。


始まって数分、突然電話。久しぶりの知人からだったので、初めこそちらちらテレビに目をやっていたが、相手の話を聞き漏らしたりしたため音を消したが目だけは展開を追っていた。途中から画面内があわただしくなり、アップされる発言者の何人かは目に涙さえ浮かべ、ただ事ではない雰囲気が感じられ、どうしても電話に集中できないので、やむを得ずテレビを消した。電話が終わって直ぐつけたが、番組はすでに終わっていた。展開がどうにも気になったのでインターネットのいくつかの掲示板を開いてみた。

覗いてみて驚いた。これがいわゆるネットの“祭り”というものか。発生直後に遭遇したのは初めてだったので、興味を引かれるままにしばらく流れを追ってみた。

息子をいじめによる暴行でなくした母親の涙の訴えに対する、元弁護士H氏の無機質とも取れる反応。スタジオ内でかなりの反感が巻き起こったようだ。私がその場にいたらやはりH氏の発言に違和感を持ったと思う。投稿者の、被害者の母への同情とH氏への怒りが渦巻く。 “ネットウヨ” “ぶサヨ”との罵声が時々入る。花火祭りなら“玉や~”“鍵や~”の掛け声が入る所なのだろうか。正に祭りである。

ここでは二つの重大な問題がごちゃ混ぜになっていると思われた。

一、共感力と鈍感力の関係

二、少年犯罪に対する考え方

昨今見られる、少年犯罪の凶暴化、少年の反省の無さなどをマスメディアで(この場合ネットも含めて)これでもか、これでもかと見せ付けられると、罰則の強化が必要という意見が説得力を持って感じられる。しかし冷静に考えてみれば凶悪犯罪を含めて少年犯罪そのものは減少の傾向にあるというし、社会的弱者であり、教育の効果が大きな青少年にはやはり罰よりは矯正が基本になるべきだとは思う。

そう考えている私でさえ、反感を感じてしまうのはどうも法律のプロによる“鈍感力”の履き違いに起因しているような気がする。

以前、検事に採用された方に研修の様子を聞いた事がある。日常生活では体験した事がないような数々の恐怖の体験、生々しい事故現場の立会い等々ナイーブな感受性を“麻痺”させて、強靭な心臓の持ち主に改造されるらしい。

目先の“私情”に左右されない鋼鉄の心臓を持った、法律の番人を養成するための、必要悪なのかもしれない。そうして鍛えられた、目の前の個々の事象に惑わされない心のありようは一種の技能かもしれない。“剣の心”といってもよい。しかしそれは人を守りもするし、使い方次第では罪のない人を傷つける。

時々見られる苦労知らずで人の痛みに“鈍感“という場合と一見混同されやすい。庶民の苦しみになんら共感することなく、“鈍感力“を強化せよと口にする政治家も見られるが、“鈍感力”ばかり逞しい政治家ほど庶民にとって迷惑な存在もないだろう。

国土が日々焦土と化し、国民が地獄の苦しみに直面している時に、未だ“国体の保持“(=権力の延命)を最優先に考え、広島・長崎の被爆の悲惨さも“しょうがない”で片付けてしまう。近隣の国々を侵略して、日々の生活を破壊し、人間としての尊厳を踏みにじり、生命を奪った過去を反省し、二度と同じ過ちを繰り返さないと誓ったはずなのに、未だに大国の侵略まがいの行動に言うがままに従っている。

鈍感力は人間性の裏づけがあって初めて許される物だろう。

また“共感力”も一部の集団内や、目先の事象だけに留まっていては、“宇宙船地球号”の乗員としては、心もとない。自分が体験していない事にも、会ったことのない人にも共感力が働くようになれたら世界はもっと平和になるだろう。

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コメント

コメントとトラックバックの仕様が変わった事に気づかず、皆様からいただいた意見、長い間公開していませんでした。
今回yamamotoさんのメールによるご指摘で気が付きました。
以後気をつけます。

投稿: akiko | 2007/07/19 21:08

お知らせくださって有難うございます。
是非見たいと思います。
全共闘と聞いただけで、未だに心の奥にさざなみが立ちます。
その後皆さんがどんな人生を送ってきたのか、
そしてこれからどのように未来に立ち向かっていくのか。
人ごとではなく、興味があります。

投稿: akiko | 2007/07/19 17:10

お久しぶりです。
ご存知かも知れませんが以下の番組がありますので、お節介かも知れませんがお知らせします。
ハイビジョン特集 シリーズ 青春が終わった日 戸井十月インタビュードキュメント 全共闘それぞれの“決着”
BShi 7月23日(月) 後8:00~9:30
東大と日大が二人ずつ、お茶大が一人、当時を振り返って当時の現場で語る番組だそうです。
東大は小坂修平・木村おさむさんが出演されるそうで収録が終わっていると聞いています。
私たちの日大も今日収録が終わりました。
これを観るにはBSとハイビジョン受像機が必要で、ハードルが高いのですが・・・・・(泣。

記事と関係の無い書き込みで失礼しました。

投稿: yamamoto | 2007/07/15 23:00

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