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2008/07/03

南十字星

 

Minamijyuujisei  何となく心のなかに漣(さざなみ)が立つ言葉である。太平洋戦争で戦線を拡大していった軍部の方針の下、多くの日本兵が悲惨な最期を辿った歴史が連鎖的に沸き起こるからなのだろうか。私自身は直接には何も知らない時代だが精神的遺伝子に組み込まれているのだろう。

  “土ボタル”鑑賞ツアーの帰り道、真っ暗な山道に車を止めて見つけるこつを教えてもらい南十字星を初めて目にしたとき、今南半球にいるということをしみじみと実感した。以来何回となく南十字星を見上げる機会があったが、慣れてしまえば日本の北斗七星のように簡単に見つける事ができる。

 その日はナナの家からバスで30分ほどの岬に出かけた。海の美しさもさることながら、道ばたでBurashi 目にする植物の珍しさに心躍った。今まで見たこともない花、種子、葉、樹形・・・植物オタクの私には至福の時間であり、時間は見る間に過ぎていった。しかも秋の日暮れは早い。名残惜しさを振り切って私はバスに乗り家路に向かった。

 ここからが実は大変だった。オーストラリアのバスは、車内で停車駅の名前の放送も表示もしてくれないし、バス停には大体駅名が書いていない。行きは終点まで乗っていればよかったのだが、帰りはそうは行かない。もう降りる駅の周辺の景色を覚えているしかないのだ!

 いつの間にか乗り過ごし慌てて下車し引き返して、なんとか目指すバス停におりた時にはあたりはすっかり暗くなっていた。

 一般にオーストラリアの夜は早い。シドニーの中心街でも多くの店が5時を境に店を閉め、見る間にひっそりとしたたたずまいに変わっていく。ナナの家は閑静な住宅街にあるため、街灯が道をうっすらと照らし、家々の窓からやわらかい照明が見える以外は暗闇に包まれている。ふと空を見上げると、南十字星が広々とした空の真ん中に光っていた。ゆったりとした時の流れを感じた。

 夜は本来暗いものなのだ!

 それはしかし、成田に夜到着した時から一変した。首都高で都心を駆け抜けたが、まばゆいばかりの光の洪水である。良くも悪くも経済的繁栄を示しているのだろう。

 日本では今コンビニの深夜営業の是非が論じられている。難しい問題だと思う。

 そもそもの始まりは、深夜まで働く人の増加に対応して発達した業態だと思うのだが、全国一律というのは融通が利かな過ぎるのではないだろうか。需要がある程度あるところで続ける事に異議はないが、需要がないところであえて、エネルギーと人間の労力を無駄に消費する制度を維持する根拠を知りたい。

   (付記) 

 乗り過ごして引き返すバスでの事。少々パニック気味になっていた私は、座席の周辺の人に次の駅名をその度に聞いていた。見かねたのか後ろの座席の人が、近くになったら教えてあげますよと声をかけてくれた。旅先では、こんな一声が本当に嬉しく感じられた。

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