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2017/05/13

28  勉強漬けの日々

移行期の数年を経て、この学校は真の“女の園”になりました。

“女の園”といっても甘やかされて、大事に育てられる訳ではありません。目的とする大学に合格するため、皆必死で勉強に集中しました。

 

学校の毎日は、朝六時半に始まり、夜九時に終了します。

早朝六時半までには、生徒は学校に着き、各自の座席に座ります。

教師は、前日の帰宅前に、翌日の自習時間の課題を、黒板いっぱいに書き込んでいます。

これらの課題を、自習時間の50分内にやっておかなければなりません。正式な授業開始までに、これらの問題を解くだけでなく、間違った問題の見直しまでしなければならないのです。

もし課題が完成できなければ、休み時間や昼休みの時間も使って、完璧に仕上げなければなりません。

そのため、私のように問題を解くのがのろい生徒は、決まった時間内に課題を完成させるために、学校に来る時間をさらに早めなければなりませんでした。

 

大体、私は六時十分前後に自分の座席に座って、問題に取り組み始めました。

家から学校まで、15分ぐらいでした。夏の早朝は、空気はすがすがしく静かで気分も爽快です。

しかし冬、しかも夜通し大雪が降った朝、まだ雪かきもされてない道は、歩くたびに膝まで雪にどっぷりつかりそれは大変でした。

朝5時半といえば、外は真っ暗です。胡同には街灯もなく、たまに朝ご飯の用意をしている民家の明かりが、かすかに道を照らして、真っ暗闇の胡同に人の気配を感じさせてくれました。胡同を出ると、点々とある街灯に沿って、よく知っている道を這うように進みます。

 

頭のてっぺんから噴き出した汗は、毛糸の帽子から染み出し、白い湯気となって立ち上ります。口からは、息が白い塊となって吐き出されます。髪の毛と帽子の庇はくっついて、厚く凍り付きます。睫毛からは、小さなつららが垂れ下がり、だんだん長く重たくなって、しまいには目が開かなくなってしまいます

夜明け前の気温は、一日の中でも最もつめたいものでした(最も寒い時は零下43度前後)。それでも学校に着いた頃には、体中から汗が吹き出し、全然寒いと感じませんでした。

 

教室はすでに暖房が効いていて、とても温かで、身体中の雪がとけてぽたぽたと溶け落ちてきます。それから靴の中、ズボン、帽子、手袋がみな湿ってきます。みんな我先にそれら湿った帽子や手袋をヒーターのうえに並べて乾燥させます。湿った靴は氷のように冷たくなっていて、すぐに脱いで足元に置いて乾かします。

こんな時、私たちは、男子がいなくて何のためらいもなくこれらのことができて、ほんとによかったと思いました。

 

続いて、授業が怒涛のように押し寄せてきます。

国語の教師は、口角泡を飛ばし喋りまくり、授業の終わりにはこう付け加えます。

“休み時間の10分を無駄にしないように。今日学習した漢詩を暗記しておくこと!昼休みに調べに来ますからね。”

 

数学の教師は、大きな三角定規を抱えてやってきて、授業の終わりに言います。

“今の練習問題が全部正解だった人は、授業を終わっていいですが、間違いがあった人は誤りを訂正してから、休憩しなさい!”

教師は椅子を教室の出入り口に置いて、出してくれません。私たちは順番に、ノートを見せて間違いが無くなって、やっと教師の横をすり抜けて教室を出て、運動場で思いっきり深呼吸できるのでした。

 

最悪なのは英語の教師でした。彼女は昼休みの時間に、私たちのクラスと、隣のクラスにやってくると英語の教科書を暗記させます。もし教科書を暗記せずに、逃げ出して遊ぼうとしたら、捕まってさらに厳しい課題が課せられます。

こうして、授業時間の間の10分の休憩も昼休みも、順番に各教科の教師によって奪われてしまいました。

 

午後六時、私たちはまた1時間の休憩時間を迎えます。

これは夜の自習前の、真の自由な休憩時間でした。私たちは校門から出て、近所の出店でパンや弁当を買います。校門の周りにはたくさんの出店があり、いろいろな食べ物屋以外にも、“プロマイド”屋さんもありました。この出店は一番人気で、いつも人垣ができていました。買ってきたプロマイドは、無味乾燥な教科書の裏表紙に張り付けたり、仲良しの友人と交換したりしました。

 

7時から9時は、夜の自習時間です。

多くの教師は6時には帰宅するので、この時間帯は、当番教師が監督します。

当番教師は教室の一番前で、その日の練習問題の採点をしたり、他の雑務をしています。

私たちは、もう帰ってしまった教師が残していった、課題に取り組みます。

教室には教科書をめくる音と、鉛筆がノートの上を走る音以外には、何も聞こえず、シーンとして緊張した雰囲気が張り詰めています。

 

9時、私たちはやっと解放されます。

一日で最も解放感に満たされる時、それが9時の終了の鐘の音が響き渡る時でした!

 

私たちは帰り支度をし、帰り道が同じ何人かの友達と連れ立って校門を出ます。

校門には一人の教師が見張っていて、私たちが安全に下校できるか見守っています。

校門の車道を隔てた向こう側には、小さな公園がありました。毎晩、公園前の花壇には若者が一列に並んでいます。彼らはこの、女だけの学校を見に来ているのです。

気に入った可愛いい女の子を見つけると、口笛を吹いたり、はやし立てたり、奇声を発したりして女の子の気を引こうとします。

 

女の子たちは“名門女子校”の矜持があり、そんな誘いには一顧だにせず、ツンとして通り過ぎます。こうして表面的には、まったく無視の態度でしたが、心中は穏やかざる物がありました。

 

友達と別れた後は、また長く真っ暗な胡同をとおって家に帰ります。家に着くと、すぐに

家の唯一の電気スタンドの前で、その日の練習問題を見直し、なかなか覚えられない英語の単語の暗記をします。

 

あれからずいぶん歳月が経過しました。

当時の思い出ですぐ目の前に浮かんでくるのは、分厚い教科書と試験用紙の山だけです。

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