2009/07/09

庭の花

 春先から結構庭の手入れに力を注いできた。

 サルスベリの枝が伸びすぎて電線にぶつかりそうになったので思い切って切り詰めたり、大きくなった梅の木で日照をさえぎられ、すっかり花が咲かなくなったツツジの代わりに、鉢からはみ出しそうになった山アジサイを植えたり、プランターの土を入れ替えたり、・・・・。

 

 何やかにやで忙しがっているうちに梅雨の季節になっていた。雨が降り続いたり、庭に長居していると何処からともなく蚊が集まってきて追っても追ってもまとわり付いたり・・・。こうなると庭いじりどころでなくなってしまう。

 手持ち無沙汰でぼんやりと眺めていると、この季節結構花の種類が多い。

 まずブッドレア。香りも良く私のお気に入りの花だ。外来種というが長野県のどっかの川原で群生しているのを見た事がある。蜜も豊富らしく、晴れた日には蝶がたくさん訪れる。

Yabukanzou 次にヤブカンゾウ。以前は川原や野原に群生していたが、最近はめっきり減ってきたような気がする。ニッコウキスゲの仲間なのだが、こちらは、里山でも川原でも情け容赦なく刈り込まれているのが痛々しい。

 少し時期が過ぎてしまったがオカトラノオも房の先にわずかに花が残っている。この花は我が家が気に入ったのか数本植えたのが、今では庭中足の踏み場もないほど茂ってしまった。

あと多寡にかかわらず、目に付いたのを列挙してみる。Kashiwabaajisai

木の仲間

 アジサイ(ガクアジサイ、柏葉アジサイ)、クチナシ、バラ、コムラサキ、マンリョウ、センリョウ

草の仲間

 キキョウ、アガパンサス、オトギリソウ、ヤブミョウガ、姫ヒオウギアヤメ、アキノタムラソウ、ハエドクソウ

以上植えたのもあるし、鳥が運んでくれたのや、風に運ばれたと思われるものなどいつの間にやら我が家も結構多様性に富んできた。

これからも小さいながら豊かな自然と共生していきたい。

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2009/05/28

麦の仲間たち  続

 前回、我が家の周辺(東京西部地区、521日)で見られたイネ科の植物の一部を紹介したが、私なりに名前を調べてみた。6のヒロハウシノケグサに関しては、オニウシノケグサと交配種も多く、その道何十年のベテランでも区別が付かないようなので、私もはなから区別は放棄した。

    

 開花時期 3-4-5-6-7-8-9-10-11

1.スズメノカタビラ(雀の帷子) 

            3――――――――――――――――11

2.ヌカボ (糠穂)           

                    5-6

3.ヒメコバンソウ(姫小判草)      

                    5―――7

4.カモガヤ (鴨茅)              

                            7-8

5.ノゲイヌムギ (芒犬麦)     

                4―――――7 

6.ヒロハウシノケグサ(広葉牛の毛草)    

                       6―――8

  オニウシノケグサ(鬼牛の毛草)  

                        6―――

7.ネズミムギ(鼠麦)            

                        6―――8

8.チガヤ(茅)             

                    5ー

9.カモジグサ (髢草)         

                    5―――

10.スズメノチャヒキ(雀の茶挽)      

                    5―――7   

11.ナギナタガヤ(薙刀茅)         

                    5-6

12.イチゴツナギ(苺繫)          

                    5-6

13.シマスズメノヒエ(島雀の稗)            

                               8―――10      

14.エノコログサ(狗尾草)               

                                 8――――――11 

15.ススキ(薄)                    

                                 8―――10

16.シナダレスズメガヤ(撓垂雀茅)         

                             7――――-10     

13から16までが時期的にかなり早いので、他の種類も大まかな花期を図鑑(“野に咲く花”山と渓谷社、2001)で調べてみたが、4,6,7なども例年より早い開花のようだ。

 今年は桜の開花も早かった。これが短期的現象ならいいが、地球温暖化の一環なら、なかなか由々しき問題だろう。人間同士些細な利害でいがみ合っている場合ではないと思うのだが・・・。

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2009/05/21

麦の仲間たち

 朝まだ涼しいうちに、家の周辺の散歩をした。真夏日の日中などとても外を歩く気がしないので、朝食を食べると直ぐに外に出る。今まで桜、ハナミズキ、バラと木々の花に注目する事が多く、道端の草花をじっくりと見ていなかった。いつの間にかイネ科植物の花が咲き乱れる季節になっていた。

といっても、あくまで地味である。誰も足を止めてゆっくりと見てくれない。どっちかというと、雑草として目の敵にされ、定期的に刈りとられてしまう。

我が家の周辺も例外ではなく、うかうかとしていると、業者が来てきれいさっぱり刈り込んでしまう。

しかしイネ科の植物好きには幾つかの特典がある。

 1、身の回りどこでも観察できる。

2、いくら標本をとってもおこられない。

3、種類が多いので、脳の活性化に役立つ。等々。

幸い未だ刈られていなかったので、小一時間も歩いたら十数種類観察できた。暑い日が続いたせいか、はやばやとエノコロ草やススキまで咲いていたのにはビックリした。

以前( http://yamakawa-akiko.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/index.html) 、稲の仲間達をまとめたので続編としてまとめてみました。同じイネ科だが麦の実る季節(麦秋)が近いので麦の仲間達としました。限られた時間と地域で見つけたものなので一般的なもので抜けているのも多いと思いますが、それは皆さん自身で補ってくさい。

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2009/02/19

世界らん展

Ran 世界らん展に行ってきた。数年前シンビジュームにはまって以来私の年中行事になっている。あの広い東京ドームがランに埋め尽くされるのである。部屋に一鉢あるだけで、華やぎをかもし出してくれる花々が、球場を埋め尽くしているのである。これを見逃す手はない!

 毎年コンセプトが少し変わるようで、今年はより珍しいもの、原種に近いものが多かった気がする。私などは何を見ても、もう感心して見とれてしまうが数時間見ているとさすが、花以外にも関心が向いていく。

 人だかりしているので覗いてみるとランの育てかたを教えてくれていた。

“・・・ランのバルブは、らくだのこぶのようなものです。その中に水をためて、渇水期を生き残るために発達してきたもので、原産地はたまに降る大雨の後は、長い間乾燥が続くところです。ところが大切にする余り、水を遣り過ぎて根腐れを起こす方が多いようです。又肥料もきわめて少量でよく、これまたあげすぎて枯らしてしまうケースを良く見かけます。・・・・”何だか耳が痛かった。

芳香のあるランを集めている一角があった。

“あんまりにおわないわねえ

“年のせいかしら

“たくさんの人がかぐので、匂いが皆吸い取られたんじゃない

“香りは朝方、特に咲き始めが強いんですよ

 袖振り合うも他生の縁、見ず知らずの人が言葉を交わし又散っていく。美しい花の中にいるShunran と皆ゆったりした気分になれる。

 観覧席が休憩席になっているので、しばらく休んだ。後ろの席からにぎやかなおしゃべりが聞こえてくる。

“N大臣のニュース見た?何度見ても大笑いしちゃうわね!

“頭はいいみたいだけど教育ママに育てられたお坊ちゃんみたいね

 “Kさん去年の秋で株大損したらしいわよ。もう当分塩漬けですって

 “Mさんは、以前のはそのままにして、新しく買ってるらしいわ

 “私のも、いつ買値に戻るのやら。もどらなきやそのまま息子にあげることになるだけだけど

話は、その後も旅行の話、化粧品の品定めと延々と続く。日本のおばさんは元気である。百年に一度の危機なんか何処吹く風、日本も何とかなるだろう!

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2007/10/29

イネの仲間達  追加

 “イネの仲間達”で大切な一群を紹介するのを忘れていた。花や実に注目する余り、花がめったに咲かない竹、ササ(60年周期、120年周期説等)の仲間が思い浮かばなかったのだ。

 今まで2回にわたって見てきたイネの仲間は、すべて草本(草)だったが、竹とササの仲間は殆んどが木本(木)である。又稈鞘(筍の皮)があることなどが、他のイネ科の仲間と異なっている。更に植物学的には稈鞘が短期で落ちる竹、長く留まるササに区別される。

 竹といえば今では筍(竹の子)、特に孟宗竹が注目される位だが、孟宗竹が日本に渡ってきたのは今から250年ぐらい前のことで案外新しい。しかしそれ以前から竹は多くの場面で日常生活用具の素材として用いられてきた。私が子供の頃は垣根や遊び道具、物干し竿、ざるやかご等々で竹が普通に使われていた。

 平安時代前期に成立した『竹取物語』の翁は竹で“よろづの”ものを作るのが仕事だったという。竹取物語といえば、竹から生まれた女の子(かぐや姫)の話だが、中国の四川省に、よく似た『斑竹姑娘』(竹の娘)という民話があるという。熱帯アジアには直径30センチを越える竹もあるというから、案外その地域がこれらの物語の発祥地なのかもしれない。

 また日本各地には七夕に竹を飾る習慣が伝わっているが、インドネシアのバリ島の祭りの情景に非常に似ているという。竹はアジアのモンスーン地域を代表する植物であり、日本文化の源流の一つなのだろう。

 昨今は竹林が増えすぎて困るという話を良く聞くし、テレビでも増大するのを防ぐ知恵を出し合う番組もあった。確かに竹の成長力はすごい。最盛期には1日に1メートル前後伸びるという。

同じ太さの鉄棒と鉄パイプの曲げ強度にはほとんど違いがないというデータがある。竹の筒状の茎はさらに、ところどころに節を作る事により、ある一定の高さを得るためには最も効率がいいとも言えるのだろう。根も一年に数方向に5~6メートルも伸張するという。

 だが芝生と一緒で、日照に恵まれないと直ぐに滅びてしまう。竹林より背の高い樹木に覆われてしまえばたちどころに樹勢は衰える。すなわち自然状態の森林では遅かれ早かれ淘汰されてしまう。現実に竹林の所在地は耕作地と天然林の間であり、人間との共生関係の中で守られてきたことがうかがえる。

 

 しかしアジアのモンスーン地域と南アメリカに分布の中心地を持ち、ヨーロッパや北アメリカにはもともと生存しなかったため、近代の科学文明から取り残されてきた感があるが、ここに来て見直しの機運が出てきた。

 バイオエタノール   竹、廃材等で石油に代わる燃料を生産

 パルプ   竹のパルプで良質な紙を製造

 音響製品  竹の繊維を利用した高音質のスピーカー

                     等々

 身近な素材から、毎日の生活に役立つものを見つけていく。技術進歩の原点であろう。

 
   ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 9月24日の文章で、当時花をつけているイネ科植物を紹介しましたが若干補足します。採集地域は大体同じですが、だけは多摩川土手まで足を伸ばしました。

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25 シナダレスズメガヤ       26 ハイヌメリ           27 ヌカキビ ・・・・・⑦

28 ジュズダマ  29 アシボソ   30 アブラススキ        31 シマスズメノヒエ    ・・・・・⑧

32 ナルコビエ  33 メリケンカルカヤ  34 メガルカヤ       35 オガルカヤ         ・・・・・⑨

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2007/10/08

イネの仲間達  続

 先々週は身近のイネ科の植物、世間では雑草とも呼ばれることの多い種類を主として紹介したが、今回は昔から人間にとって役に立ち大切にされてきた仲間を簡単に見てみたい。

イネ  夏に雨が多い地域の夏作物。70008000年前に中国南部で栽培が始まり、今では世界人口の半数以上の人々の主食となっている。大多数のイネは、田に水を張って栽培するため、栄養が適度に補充され、連作障害が起きないので、毎年同じ土地で栽培できる。

また日本の水田は、全国の洪水調節用ダム300余個の貯水能力の4倍の貯水能力を持ち、環境保全に重要な機能を果たしているという。

小麦  夏季は乾燥し、冬に雨の多い地域の冬作物。メソポタミア(西アジア)で栽培が始まりヨーロッパ、中国、アメリカに伝わる。イネ、トウモロコシと並んで世界三大作物といわれる。連作障害がおきるので輪作の必要がある。

トウモロコシ  新大陸原産。アメリカが最大の生産国で大規模化、機械化が進んでいる。食用の外に食用油、コーンスターチの原料、家畜の飼料としても重要。最近はバイオエタノールで注目。

大麦 西アジア原産。ヤバネ大麦(二条大麦)からはビールが、六条大麦からは麦茶が作られる。

モロコシ アフリカ原産で中国東北地方のコーリャン(高粱)はその北方Kouryan_3適応型。主食、酒の原料、飼料等に用いる。

エンバク(オート麦)  オートミールの素材。


ライ麦  原産地は西アジアだが、耐寒性があるため北欧で作られ、黒パンの材料となる。


 日本の五穀として米、大豆と共に古来珍重されていた。

アワ  エノコロ草起源。 日本最古の栽培植物のひとつ。中国の黄河流域が発祥地といわれ漢字「禾」のモデル。唐以前は中原(中国北方)では主食でありその後も、五穀のひとつとして大切にされた。

ヒエ  イヌビエ起源。東アジアで栽培され、昭和期までは日本でも主食の一つであった。

キビ  インド原産とされる。日本には弥生前期(縄文後期?)に渡来。和名は黄実から転化したという。桃太郎の携帯食として知られる黍団子の原料。

 以上の外にも世界各地で現在も主食とされているものは多い。

ハトムギ(ジュズダマの栽培種 インド、ミャンマー)

シコクビエ(オヒシバの近縁で、エチオピア、インドで主食、酒の原料)

テフ(カゼクサの近縁 アフリカ)

トウジンビエ(チカラシバの近縁 インド、アフリカ)

 他にも

サトウキビ ニューギニア原産で、砂糖の主な原料。現在バイオエタノール原料として注目を集めている。


アシ(ヨシ)  水質浄化作用が注目されている。ヨシズの材料。


牧草  多くがイネ科植物。牛、馬、羊等の主要な食料。 

緑化用  シバ(芝生)シナダレスズメガヤ(法面)

染料(コブナグサカリヤス)観賞用(パンパスグラス)ハーブ(レモングラス

茅(かや)葺屋根  戦前の農家の一般的屋根葺き材 

                等々 

 こうしてみてくると、私達は昔から現在に至るまで、イネ科植物なしには夜も日も明けぬほどお世話になっているのが分かる。たまには道端の雑草といわれているイネの仲間達に目を留めてみるのもいいのではないだろうか。

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2007/06/18

中高年の星

この季節、花といえばアジサイとアヤメであろう。

アヤメといえば、東京にも名所は数々あるのに、先日わざわざ潮来に行ってきた。潮来花嫁さん♪ 潮来笠♪などの歌もあり名前は馴染み深いのだが都心をはさんで我が家から反対側にあることもあり、この年になるまで一度も行った事がなかった。

Ayame  こういう時ツアーは便利である。行きたいところを含めて、何箇所も効率的に見て回れる。そんなわけで本来は潮来のアヤメがお目当てだったのだが、佐原の昔ながらの街並みもついでに見ることになった。

 行ってみて驚いた。つい先頃いってきた、中国の江南の水郷地帯に雰囲気がそっくりなのだ。利根川に連なる町の中に張り巡らされた運河。そこをのどかに行きかう小船。川岸の柳、家ごとにあったという船着場。家々の白壁、木肌を生かした柱、黒い瓦屋根・・・・・。両者が私の頭の中でオーバーラップしてSawara しまった。

 

 佐原でのもう一つの発見は伊能忠敬だった。日本地図を完成させた江戸時代の偉い人。この程度の知識は当然持っていた。しかし佐原の人だとは知らなかった。佐原の町並み見物に同行してくれた地元のガイドさんは伊能忠敬の大フアンみたいで、一時間ほどの散策の終わり頃には、私もいつの間にかすっかり感化されてしまった。

 1745年九十九里浜に生まれ、17歳の時伊能家の婿養子になる。36歳で名主拝命。49歳で隠居。50歳、江戸に出て天文学を学び55歳で北海道の測量開始、以後73歳でなくなるまで10回に及ぶ日本全国の測量を成し遂げる。没後3年にして弟子達により、日本全図完成。

これだけでも私なんかは圧倒されて目眩がするほどなのだが、彼の住んでいた家、歩いたであろう町並みの中で、聞くと感慨もまたひとしお深かった。 

 当時佐原は江戸と東北地方を結ぶ利根川水運の中継港として繁栄し、伊能家も広大な水田を持つ大地主であり、酒造を営む商家だったが、忠敬の代には米の売買、物産の運搬等々も手がけ大いに財を成したという。当時金持ちは、早くに隠居し、漢学、和学にいそしむ土地柄だったというが、養子というハンデもあり、忠敬は50歳までは家業に全力投球したようだ。その間、傾きかけていた伊能家を再興し、現在では14億円相当の蓄財をするが、財は困っている人のために惜しみなく使い、天明の飢饉の時も多くの町に餓死者があふれたときも佐原では一人の餓死者も出なかったという。また度々起こる洪水後の田畑の境界線を確定する必要から、実践的測量技術を身につけたという。

 忠敬が本当にしたかった事は、地球の大きさを測ることだったという。そのために必要な知識を習得すると、まず赴いたのが北海道だった。これは当時世界的(西洋中心ではあるが)な関心が集まっていた学問分野だったそうで、鎖国中の日本の田舎の一私人が50歳にして、世界の頭脳が取り組んでいた最先端のテーマの解決にのりだした心意気に改めて脱帽した。

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2007/06/04

オニ(鬼)スゲ

 一般に植物に興味を惹かれるようになるきっかけは、花にあるように思われる。庭園に咲く目のさめるような花、野に咲く可憐な花、人により様々だろうが、花の色、形、匂い・・・だんだんと深みにはまり、庭中花で埋め尽くし、あるいはベランダ中鉢で足の踏み場もなくし、季節ごとに花の追っかけで日本中、果ては世界にまで足を伸ばす。

以上が正統派とすれば、当然異端もあるだろう。私なども、きわめてマニアックな道にはまり込んでいるのかもしれない。

先日、近所の里山を歩いた。久しぶりである。春未だ浅い頃のスプリングエフェメラル。こぶし、桜と続く華やかな春の木々の花、コナラや、シデ類の地味な花々、そしてホオノキ、エゴノキ、ウツギ(空木、卯の花)と初夏の白い花に移り変わる頃、草花は端境期に入り一見花が少なくなる。この時になって、ふと目に入ってくるのがスゲ群である。ああ・・・もう直ぐ梅雨になるんだな。

スゲと一口に言っても、単子葉植物の中ではイネ科、ラン科に継ぐ大きなカヤツリグサ科の主要属であり、世界に2000種、日本に200種あるという。現代では人間生活に直接役に立つものがあまり見当たらないが、以前は 夏も近づく八十八夜・・・・スゲの傘♪ などと傘(帽子)や蓑(雨具)の材料に重宝されたようだ。今はお土産ぐらいでしかお目にかかれない。どっちかというと、水田の雑草として、目に付くと引き抜かれる運命にある。逆に言うと、観察の為にいくらか取っても気が引けない。

色が又じみである。花の時、めしべおしべがかろうじて白っぽかったり黄色がかったりしているが、それとて目に付くほどでない。しいて言えば、実の形が面白い。種毎に似て非なる形は気になりだすと癖になる。

さて、話を元に戻そう。先日の里山歩きでスゲが実をつけているのに気が付いた。数種類のスゲを採集し家に帰って、夕食後図鑑で調べてみた。アゼ(畔)スゲ、カワラ(河原)スゲ、ゴウソ、マス(枡)クサ、オニ(鬼)スゲ・・・良く見るスゲの種類である。しかし一つだけどうしても分からないのがあった。スゲ属なのは間違いない。しかし図鑑のスゲの項を端から端まで見てもどれにも該当していないように見える。何回も見直した。


該当するものがない・・・・。

ひょっとして新種!?

でも人通りも有り、目に付く場所である。

そんなに珍しいものがある訳がない・・・。

葉や実の着き方は鬼スゲに似ている。

でも実の形が違いすぎる・・・・・・・・・・・・。

ソウだ!

ポップコーンのように大変身するのかもしれない!

そう考えればすべてが納得できた。後は検証だけ。

翌日、朝食を終えると、家事もそっちのけで私は、里山のオニスゲ採集地に向かOnisuge_2 った。群生している中で幾つかを丁寧に見ると、幼い実から、いがいがのいかつい成熟した実まで、様々な中間形があった。疑問が氷解した瞬間であった。

田植えの終わったばかりの水田には早苗が整然と並び、草の葉の上の水滴がまばゆいばかりに光り輝いていた。藪から聞こえるウグイス(鶯)やガビチョウ(画眉鳥)のさえずりに口笛で答えながら、私は満足感にあふれて家路についた。

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2007/03/26

スプリング・エフェメラル

日本語訳は“春の妖精”。これは少女マンガの題名ではなく、れっきとした植物学用語である。落葉樹林の林床で早春に早々と葉を出し、花を開き、木々の新芽が展開し新緑が林冠を覆いつくす頃、種子を実らせ根に養分を蓄え、葉を枯らし、来春までの深い眠りに付く。

カタクリ、イチリンソウ(一輪草)、イチゲ類、エンゴサク類、・・・・今年もまたこの花々の季節がやってきた。未だ寒さの残るこの季節、数少ない虫をひきつけるためというが、それぞれが実に美しい。冬枯れの木々、落ち葉が積もった林床に鮮やかなピンクのカタクリや、エンゴサクの目の覚めるような青を見つけたときは、本当に心ときめく。

春の妖精の代表格、カタクリの歴史は興味深い。氷河期が終わりを告げると共に、関東平野以西ではブナ、ミズナラなどの落葉樹は涼しさの残る山間部に後退し、その跡を暖帯系の照葉樹が埋めてきた。関東平野でも当然同様の流れが進行したため落葉樹林と共にカタクリが消えていくのは時間の問題だった。

しかし、縄文人が焼畑を始めた時期と重なった。焼畑の後は一般的に落葉樹林になるため、カタクリは早春の光を利用し続けられた。氷河期の忘れ物といわれるゆえんである。稲作の渡来普及期にも、“雑木林”は薪炭林、里山等々として大事に守られ続けた。

このように歴史の偶然により残ってきた関東以西のカタクリの群生も近年急速に失われつつある。雑木林が使われなくなりアズマネザサなどが繁茂し、林床に光が届かなくなったためという。

カタクリが実生から花を咲かすまで7年かかるという。自然破壊は一瞬にしてできるが、一度失われた自然を取り戻すのには多くの時間がかかる。自然と人間の歴史の奇跡の贈り物“春の妖精”を大切に守りたい。

妖精といえば、世界フィギュアの日本選手の活躍には目を見張った。正に氷上の妖精とも言える華麗な演技を、ここ数日テレビ画面を通じ息を呑んで見つめ続けた。

演技終了後、全力を出し切った選手達の汗と涙、そして満足のいく結果に輝く笑顔は素晴らしかった。

能登半島で強い地震発生。

被災地の早急な復興を望みます。改めて日本が地震列島だということを想起させられました。いつどこで起きるか分からない以上、いつ起きても対処できる体勢を整えておく事が大事だと思います。

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2007/02/05

ウソの季節

 今年は身近でウソにお目にかかれる。といっても、選挙活動期間を皮肉ったわけではない。鳥の話である。


先日ウソを近くの公園で見たという人がいたので、さっそく見に出かけた。昼下がりのひと時、風は冷たいので、ダウンのジャケットを着込み防寒対策万全で、目撃証言のあった公園のサクラの木の近くに待機する事三十分余り。カワラヒワは群れを成してこずえでにぎやかなのだが、ウソはさっぱり来ない。

その場を離れて、少し近辺の探索に出かけた。しばらく歩いているといたいた!二羽のウソがのんびりとした風情で桜の花芽をついばんでいた。首に赤みがないのでメスだと思われる。ここ数日、梅の花はかなりあちこちで咲き出したが、サクラの蕾はまだいかにも固そうだ。

以前、早春の高尾山で五分咲きの桜の木で、ふっくらとしたピンク色の蕾を食べているのを見た事があるが、いかにもおいしそうに見えた。しかし、今の時期未だ余りおいしそうにも見えない。

この冬の食糧事情の悪さの反映なのかもしれない。今から食べていたら、開花の頃はだいぶ花数が減って、各地の桜の名所地の人からまた恨み節が聞かされるかもしれないな・・・。ま、熊のように人命にかかわる問題でないので、大目に見て欲しい。

ちなみにウソという名前は、うそぶく(嘯く=口笛を吹く)から来たと言う。鳴き声が、口笛に非常に似ているためという。以前は、梅づくり農家からは摘果代わりになり、いい実をつける手伝いをしてくれると感謝され、大事にされたという。

だいぶ前の話になるが、食料増産に励んでいた中国で、せっかく実った米を食べるスズメを害鳥と目の敵にして、国を挙げて撲滅運動を繰り広げたという。その結果、翌年から害虫が大発生をして稲作は数年にわたり壊滅的打撃を受けたという。その後スズメは益鳥として見直され大事に保護されるようになったらしい。

物事を短期的一面的に考える事の危うさを教えてくれる話だと思う。自然に関しては多面的長期的観点が必要とされるということだろう。人間とて自然の一部である。総合的に考えてもらいたい。

先週、国会は一閣僚の問題発言で紛糾した。

“女性は子供を生む機械である”

一面では、真理をついているのかもしれない。同様に夫は、給料を稼ぐ機械であると考えている妻もいるであろうし、労働者は利益を生み出す機械である、と考えている経営者もいるであろう。株取引は情報を握っているものが、一般の庶民から金を巻き上げる便利な機械である、と考えている投資家も当然いるであろう。

ある意味、現代社会そのものが、多くの社会・自然現象を“機械化”する事に血道を上げてきたといえるのかもしれない。アメリカ社会はその最先端を突っ走ってきたのだろう。その後に必死で追いすがろうとしている今の日本の政権担当者が、多かれ少なかれ、“人間機械論”の影響を受けているのは当然といえば当然かもしれない。

この数年来、構造改革の名の下に、会社の人間関係は崩され、学校ではいじめが蔓延し、地域の経済、医療は瓦解してきた。毎日の人間らしい営みを壊していく事が“改革”と勘違いしているかのような惨状である。

問題にすべきは、一閣僚の失言の可否や進退ではなく、人間を“機械”、すなわち目的ではなく手段と捉える考え方により運営されている政権を私達が支持するかどうかということだと思われる。

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