2004/11/04

日記から     ( 0-2 )

         1999年6月12日(土)
 今日も晴れ。 トーストと紅茶の朝食をとりながら、新聞を見ていた。 夫が横で言った。 
 「今年は空梅雨になるかもしれないね」 
 「エ、ウソッ! これきり雨が降らなかったら夏や秋は水不足で大変じゃない」
 日本も砂漠化現象に巻き込まれてきたのか。 もし、日本から雨、すなわち水の豊かさを取り上げたら、日本の緑の豊かさは一変するだろう。 水の枯れた一本の井戸をめぐって争い合っていた中国映画 『古井戸』 を思い出してしまう。
 雨よ、日本を見捨てないで!

 食事が済むと机に向かい、先日図書館で借りてきた本 『二十歳の原点』 を読み続ける。 これは一週間ほど前、新聞のコラムに引用されていた本だ。今から30年前の6月24日、全国に吹き荒れた大学闘争の中で、自ら命を絶った20才の女子学生の、死の直前までの日記である。

 夫が又声をかける。
 「何を読んでるんだい」
 私が読んでいる本の表紙を見て、あきれたように言う。
 「へえー、今頃読んでいるの。君なんか真っ先に読んでいると思っていた」
 「読んだことあるの? どんな感想持った?」
 夫は答えずに部屋から出ていった。 しばし、邪魔が入ったが、私は又本を読み続けた。涙と鼻水が出てきて、私は何度も鼻をかみながら、読み続けた。

 “進学で考えることをさせずに人間を記憶暗誦する機械にしてしまう現在の高校教育、私が受けてきた教育が 何が真実かを見失わせていたことに対する怒り…・。”
 “敵は強大である。私の武器は真理であり、真実だ。私には精一杯やるという気はあるが、それにビクともせずに  圧殺されてしまったことが口惜しくてみじめであった。”  (高野悦子 『二十歳の原点』 新潮社 )

 チャイムが鳴る。 リフォーム会社の人だ。 この家も築20年。 色々な所でガタがきだした。 といっても先立つものもなし。 丁重に断る。
 今日中に読んでしまおう。 6月19日の記述のところにきた。
 
  “…・目をつぶると、暗闇に小さな体を恥ずかしげに独りで立っている愛しい女の子の姿が浮かぶ。…・寂しがり屋 で甘えん坊の愛しい姿よ。”  ( 前出 )
 私は急に嗚咽の声を上げて、机の上に身を投げ出したくなった。 でも、私は抑えた。 この何十年の年月の経験が私にそうすることを許さなかった。

 もし、激しく泣いてしまうと、その後数日まぶたが腫れあがり、とても人前に出られたものではない。 腫れが直っても、今度は目の周辺に新たな小じわが増加する。私は、大学入学前まで一重まぶただったが、今は二重になってしまった。 それでも吸収しきれないシワは、目の周りに容赦なく集積した。 「ママも、もうババアだね」などと息子に言われて、怒ってみても、事実を認めないわけにはいかない。
 もう、これ以上シワを増やしてなるものか。

 そういう訳で、私はこの本を激しい感情を表に出すことなく読み終えた。
高野悦子さんの青春の最後の一年が、私自身のその時とオーバーラップして感じられた。
 心の中にずっと長いこと抑えこんでいた気持ちが揺り起こされた感じがした。
 私は、以下の文を悦子さんの墓前に随分遅れてしまったが、捧げたい。

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2004/11/03

『あなたへのEメール』   序     ( 0-1 ) 

 ココログへ初めて記事をアップしてから12日たちました。その間、新潟中越地震、香田証生さんの非業の死、そして今日、アメリカ大統領選が行われています。次から次に押し寄せる波の中に翻弄されている中で、時間ばかりたってしまいました。
 ここでもう一度、私がブログを始めようと思った原点に返りたいと思います。自分のそれまでの人生を振り返ってみたい。より良い明日を歩みだせるために.....。書きながら思いました。この文章を多くの人に読んでもらいたい。
そして、読んでくれた人が、又それぞれの人生を振り返ったとき、其の先に生まれてくる私達の歴史は、より明るい方向に向かえるのではないだろうか。
 文章を書くことは、自分一人で、できます。しかし、それを多くの人に読んでもらうにはどうしたらいいか。当時の私には、見当がつきませんでした。そんな中、いつもは、私の批判をするのが生きがいみたいな息子が、インターネットの利用を勧めてくれました。そして適当な小説投稿サイトを見つけてきて、私に代わって連載を続けてくれました。一方で私は、本という形にこだわっていました。一通り纏め上げた段階で、自費出版することにしました。しかし、無名な個人の本が流通ルートに載るのが、如何に大変かの一端を味わいました。  
 一度や二度の失敗で懲りないのが、私の長所でもあり欠点でもあります。
 今度は、双方向の自分自身のホームページを作りたい。その後の事情は "はじめまして" に述べたとうりです。
初めて読んでくれる方も多いと思いますので、最初から再録します。ただ導入の日記部分は、副題の元になった、本文直前の一日分にしておきます。他の日の日記は以前のホームページをご覧ください。  
  

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